ヒモの手帖

今日は何を作ろうか

薬味酢飯

私は小さい頃、薬味があまり好きではありませんでした。葱なんかはまだ良かったけれど茗荷や大葉のあの独特な香りを嗅ぐと、どうして既においしい食べ物にこんなものを合わせるのだろうとよく不思議に思ったものです。パクチーなどはもう恐怖の対象でしかありませんでした。そんな私をよそに周りの大人たちは蕎麦に鍋、鰹のたたきなんかに、これでもかと山盛りの薬味をのせて、それはもうおいしそうに食べていたのです。それから早十数年、私はすっかり薬味好きとして立派に成長したのであります。クレソンのサラダと根三つ葉のお浸しが同時に食卓にのぼるなんてことはザラもザラ。パクチー料理専門店などにも行きました。そんな私が付き合った彼女が、幼い頃の自分と同じ大の薬味嫌いだったのです。香味野菜はもちろんのこと、胡麻などもダメ。その中で苦心して作ったのが、この薬味酢飯でした。今でも彼女は薬味が苦手ですが、この酢飯だけは大喜びで食べてくれます。普通の酢飯だと、どうしても飽きてしまうなんていう時に、ぜひ一度お試し下さい。

【材料】酢飯2合分
米 2合分
水 2合分(気持ち少なめに)
酒 小さじ1
昆布 1切れ(あれば)
●酢 大さじ2
●塩 小さじ2
●砂糖 小さじ4
生姜 1かけ
大葉 5枚くらい
茗荷 1つ
お好みの香味野菜(柚子や葉わさびetc...)
白炒り胡麻 適量

【作り方】
まずはお米を洗って、ほんの気持ち硬めに炊き上がるくらいに水加減して酒と昆布を加えて炊きます。

ご飯を炊いている間に薬味になる野菜を切っていきます。生姜は細い針千本に、茗荷は縦半分に切ってから薄切りに、大葉は細切りにします。他に薬味を入れる場合も小さく刻んだり、薄切り、細切りにした方が食べやすいかと思います。

薬味の支度が終わったら、今度は合わせ酢を作ります。●印の付いた調味料を混ぜ合わせて、塩や砂糖の粒があらかた無くなるまで混ぜます。軽く火にかけてやると早く溶けます。火傷したり沸かさないようにお気をつけ下さい。

いよいよご飯と合わせ酢、薬味を合わせていきます。ご飯が炊き上がったらすぐに、できるだけ大きくて平たい器(大きめの鍋やきれいに洗ったフライパンでも)にご飯をあけて合わせ酢をまんべんなく振りかけ、素早くしゃもじで切るように混ぜます。途中、何度か底から返すように混ぜると均一に混ぜることができます。ここで時間をかけてしまうとお米が潰れてベタついたりするので、ここだけは少し手早く作業するようにしましょう。うちわがあれば扇ぎながらやると、さらに均一に味が行き渡ります。

だいたいご飯と合わせ酢が混ざったら用意しておいた薬味を加えて軽く混ぜます。

これで薬味酢飯の出来上がりです。おひつがあれば理想的ですが、ボウルにラップでも、鍋に蓋でも、もちろん大丈夫。乾かないようにして手巻き寿司にするもよし、ちらし寿司にするもよし、手捏ね寿司にするもよしです。お好きなように召し上がれ。