ヒモの手帖

今日は何を作ろうか

ピェンロー

寒い冬はお鍋の季節。気心の知れた人も、そうでない人も、みんなで一つのお鍋を囲めば、和気藹々としてくるから不思議なものです。しかし、お鍋と一口に言ってはみたものの、湯豆腐や鱈ちりからトマト鍋やカレー鍋まで、近ごろは洋の東西を分けず、色んなお鍋がありますよね。そんな中でも、ひとつの完成形との呼び声もあるお鍋があります。それがピェンローです。漢字で扁炉とも書き、もともとは中国語で鍋料理を指していたようです。妹尾河童さんのエッセイで紹介され、それで知っているという人も多いかと思います。具は白菜、鶏肉と豚肉、春雨だけという極めてシンプルなもので、出汁は椎茸や昆布を使います。見た目は地味で、華はありません。しかし、なかなかどうしてこれが旨い。椎茸と昆布、鶏肉と豚肉、このなんの変哲もない組み合わせが鍋の旨味を累乗的に増やしているのです。また、その旨味たっぷりのスープを吸った春雨のまぁおいしいこと。香ばしいごま油の匂いとあっさりとした塩味はどれだけ食べても飽きることがありません。普段、椎茸や昆布の出汁はあまり取らないという人も、ぜひ一度お試しください。たしかに少し時間はかかるけれど、その価値は十二分にあるおいしさです。

【材料】約2人分
白菜 2分の1玉
豚バラ肉 1パック
鳥もも肉 1パック
春雨 1袋
水 鍋にいっぱい
干し椎茸 5個
昆布 1〜2枚
ごま油 お玉に半分くらい
塩 お好みで

【作り方】
まずは干し椎茸と昆布で出汁を取ります。鍋に水と砕いた干し椎茸、昆布を入れて、涼しいところに置いておきます。私はいつも、だいたい1時間ほどで戻しています。時間に余裕があるときは半日から一晩置くと、よりおいしい出汁が取れます。

出汁が取れたら、白菜を食べやすい大きさにざく切りにして煮ます。このとき蓋をすると、おいしい出汁が蒸発するのを防ぐことができます。

白菜が柔らかくなってきたら、鳥もも肉から加えていきます。鳥もも肉だけで少し煮て、軽く火を通してから豚バラ肉を加えましょう。

肉を煮ている間に別の鍋にお湯を沸かして、春雨を下茹でしておきます。

鳥もも肉と豚バラ肉に完全に火が通ったら、下茹でした春雨を加えて、さっと煮ます。仕上げにごま油を加えたら出来上がり。

もうもうとした湯気とごま油の香りが匂い立つお鍋からお椀によそって、塩や一味、七味などでお好きなように味付けをして召し上がれ。柚子胡椒やかんずりなんかも合うかと思います。