ヒモの手帖

今日は何を作ろうか

ささみの中華粥

体調を崩しているとき、脂っこい食事が続いて食欲が落ちているときなどに私はよくお粥を作ります。ただのお粥ではちょっと物足りないというときに中華粥はぴったりです。真っ白の美しい見た目のお粥はとろとろでなめらか。するするとお腹に収まっていき、体に沁み渡ります。ごま油の風味とささみの旨みが効いていて、食欲がなくともついつい2杯、3杯とおかわりをしてしまうこともあるほどです。作り方が簡単なのも嬉しいところ。ぜひ、一度お試しください。

【材料】
米 1合
熱湯 10カップ分
ささみ 3本
酒 適量
ごま油 適量
塩(お椀によそって食べる時に) 適量

【作り方】
まずはささみの筋を取り、味付けと臭み消しのために軽く塩(分量外)と酒を振って置いておきます。

次に米を洗います。水気を切り、鍋にごま油を引き、米のひと粒ひと粒が透き通るまで中火〜強火で炒めます。

お米が透き通ったところで、熱湯をジューッと注ぎます。こうすることで米の粒が割れて、中華粥特有の米の華が咲きます。

置いておいたささみを加えて、蓋をせずに弱火〜中火でふつふつと煮ていきます。

途中で何度か底をすくって焦げ付くのを防ぎ、水分量も確認しましょう。まだ米に芯があるのに水分量が少なくなっていたら水を足します。

米の芯が完全に無くなるまで煮たら出来上がりです。ささみを取り出して、ほぐしてから盛り付けましょう。ひと口食べてみてお好みの塩加減で味付けしましょう。塩を加えただけのシンプルなものもおいしいですが、梅干しや揚げワンタンの皮、ピータン、ごま油など色々なトッピングもよく合います。出来たての熱々のうちに召し上がれ。

ミートソース

昔懐かしいミートソース。私はときどき無性に食べたくなって、一度にたくさん作ります。冷凍しようと思ってたくさん作るのに、気がつくとあっと言う間になくなってしまうから不思議です。スパゲティはもちろんのこと、ラザニアやナスと合わせてムサカにするのもとってもおいしいです。お肉の旨みとコク、トマトの甘みと酸味がなんとも言えず、多くの人が食べると笑顔になってしまうミートソース。いまは缶詰やレトルトのものが簡単に安く買えるけれど、自分で作ったものは格別です。少し時間と手間はかかるけれど、それに見合うだけのおいしさがある、とっておきのレシピです。ちょっと良いことがあった日に、大切な人へのご馳走に。ぜひ、一度お試しください。

【材料】
合挽き肉 500gくらい
●玉ねぎ 1個
●にんじん 2分の1本
●セロリ 1本
●にんにく 1片
牛乳 炒めた合挽き肉にひたひた
赤ワイン 加えた牛乳の半分くらい
トマト缶 2缶
トマトケチャップ(隠し味) 少々
固形ブイヨン 1かけ
塩(味を見ながら) 適量
胡椒 少々
ローリエ(あれば) 2枚
植物油 適量

【作り方】
まずは●の印の付いた野菜を全てみじん切りにします。できることなら手で切った方が野菜の苦みやえぐみが出にくいので、おすすめです。

鍋に油を引いて、にんにくを加えて炒めていきます。軽く香りが出てきたところで、玉ねぎとにんじんを加えましょう。ここで塩少々(分量外)を振って余計な水分を出すと早く炒まります。玉ねぎとにんじんが透き通ってきたら、セロリを加えてさっと炒め、別の器にとっておきます。

鍋をきれいにして、油を引き、合挽き肉を炒めます。はじめはあまり混ぜないようにして焼き色をつけると肉感が残り、香ばしく仕上げることができます。合挽き肉全体に濃い焼き色がつくまでしっかり炒めます。

炒め終わったら、ザルなどを使って余計な脂を取り除きます。再び、鍋をきれいにして炒めたひき肉を戻して、牛乳をひたひたに注ぎます。強火〜中火で牛乳の水気がなくなるまで炒めます。水気がなくなったら、今度は赤ワインを注いで同じ要領で炒めていきます。

赤ワインの水気も飛んだら炒めておいた野菜、トマト缶、トマトケチャップ、ブイヨン、あればローリエも加えて蓋をせずに弱火〜中火でふつふつと煮込んでいきます。だいたい3、40分くらいで煮上がるかと思います。味見をしてみて、ひき肉が柔らかくなったら塩と胡椒で味を調えて出来上がりです。


ピェンロー

寒い冬はお鍋の季節。気心の知れた人も、そうでない人も、みんなで一つのお鍋を囲めば、和気藹々としてくるから不思議なものです。しかし、お鍋と一口に言ってはみたものの、湯豆腐や鱈ちりからトマト鍋やカレー鍋まで、近ごろは洋の東西を分けず、色んなお鍋がありますよね。そんな中でも、ひとつの完成形との呼び声もあるお鍋があります。それがピェンローです。漢字で扁炉とも書き、もともとは中国語で鍋料理を指していたようです。妹尾河童さんのエッセイで紹介され、それで知っているという人も多いかと思います。具は白菜、鶏肉と豚肉、春雨だけという極めてシンプルなもので、出汁は椎茸や昆布を使います。見た目は地味で、華はありません。しかし、なかなかどうしてこれが旨い。椎茸と昆布、鶏肉と豚肉、このなんの変哲もない組み合わせが鍋の旨味を累乗的に増やしているのです。また、その旨味たっぷりのスープを吸った春雨のまぁおいしいこと。香ばしいごま油の匂いとあっさりとした塩味はどれだけ食べても飽きることがありません。普段、椎茸や昆布の出汁はあまり取らないという人も、ぜひ一度お試しください。たしかに少し時間はかかるけれど、その価値は十二分にあるおいしさです。

【材料】約2人分
白菜 2分の1玉
豚バラ肉 1パック
鳥もも肉 1パック
春雨 1袋
水 鍋にいっぱい
干し椎茸 5個
昆布 1〜2枚
ごま油 お玉に半分くらい
塩 お好みで

【作り方】
まずは干し椎茸と昆布で出汁を取ります。鍋に水と砕いた干し椎茸、昆布を入れて、涼しいところに置いておきます。私はいつも、だいたい1時間ほどで戻しています。時間に余裕があるときは半日から一晩置くと、よりおいしい出汁が取れます。

出汁が取れたら、白菜を食べやすい大きさにざく切りにして煮ます。このとき蓋をすると、おいしい出汁が蒸発するのを防ぐことができます。

白菜が柔らかくなってきたら、鳥もも肉から加えていきます。鳥もも肉だけで少し煮て、軽く火を通してから豚バラ肉を加えましょう。

肉を煮ている間に別の鍋にお湯を沸かして、春雨を下茹でしておきます。

鳥もも肉と豚バラ肉に完全に火が通ったら、下茹でした春雨を加えて、さっと煮ます。仕上げにごま油を加えたら出来上がり。

もうもうとした湯気とごま油の香りが匂い立つお鍋からお椀によそって、塩や一味、七味などでお好きなように味付けをして召し上がれ。柚子胡椒やかんずりなんかも合うかと思います。


里芋とお豆腐の煮物

私にはときどき、今日はお肉や油物を食べたくない!という日があります。それは肉食獣の彼女の要望で焼肉が連日続いた時だったり、忙しくて外食が続いてしまった時だったり。そんな時によく作るのが里芋とお豆腐の煮物です。野菜とお豆腐だからあっさりとしていて、胃にもたれることはない。けれどご飯はしっかり進むという、とても優秀なおかずなのです。また、煮魚や他の煮物を作って、あんまりにもおいしくできたけれど、煮汁だけが余ってしまった!なんて時にも、よく里芋とお豆腐を入れて煮てしまいます。このふたつの食材はおいしく煮汁を吸ってくれるのはもちろんのこと、里芋はねっとりほくほく、お豆腐はぷるぷるとろとろという具合に煮上がった時の食感の違いも嬉しいものです。汁気を切ればお弁当のおかずなんかにもぴったりです。ぜひ、一度お試しください。

【材料】約2人分
里芋 1袋
木綿豆腐(焼き豆腐でも) 1丁
かつお出汁 だいたい里芋と木綿豆腐が浸るくらい
醤油 大さじ4
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
塩(味を見ながら) 少々

【作り方】
まず、かつお出汁を取ります。沸騰したお湯にかつお節をひと掴み入れて、ほんの少し鍋の中で踊らせたら火を止めて、かつお節が沈んだのを見計らって漉します。これでかつお出汁の出来上がりです。

里芋の皮を剥きましょう。手が滑ったり、人によってはかぶれたりしてしまうことがあるのでご注意ください。

全て剥き終わったら塩を振って少し揉んだ後、水で洗い流してぬめりを取ります。豆腐は食べやすい大きさに切っておきましょう。

鍋に里芋、豆腐を入れて、かつお出汁をひたひたに注ぎます。塩を最後に、調味料も全て加えましょう。

あとは落とし蓋をして弱火〜中火でふつふつ優しく煮るだけです。里芋に竹串や箸を刺してみて、スッと入るようになったら火通りは大丈夫。汁気を残して、上品に仕上げるもよし、味付けの段階で少し薄味にして、煮汁を煮詰めて煮転がすもよし。でも、あんまり強火でグラグラと煮てしまうと豆腐はスだらけになってしまうし、里芋は煮崩れてしまいますのでお気をつけください。

じゃがいものバジルソース和え

近頃は1年を通して手に入るようになったバジル。我が家では夏になると大袋でたくさん買ってきて、作り置きします。きちっと密閉して冷凍しておけば、おいしさ長持ち。それでも、やっぱり作りたての香りには敵いません。爽やかなバジルの香りにチーズのコク、ピリッと効いたにんにくの風味。松の実やクルミは入れれば確かにおいしくなるけれど普段はなかなか家に無いものだから私はある時だけ入れています。パスタや白身魚のソテーのソースにしたりするのが定番だけれど、うちではじゃがいもと一緒に和えて付け合わせや簡単な主食代わりにもします。じゃがいものホクホクとした食感と甘みにバジルソースがよく合います。鮮やかな緑色は食卓に彩りも与えてくれます。

【材料】約2人分
バジルソース
バジル 1袋
オリーブ油(様子を見ながら) だいたい100g
にんにく(お好みに合わせて) 2分の1から1片
粉チーズ 大さじ1
塩(味を見ながら) 少々
アンチョビ(あれば)少々
ナッツ類 少々
(松の実やクルミなど、あれば)

じゃがいも 3個
とろけるチーズ 適量

【作り方】
まずは皮付きのまま洗ったじゃがいもを水から茹でます。たっぷりの塩(分量外)も加えましょう。

じゃがいもを茹でている間に、バジルソースを作ります。バジルをさっと水洗いして軸から葉だけを摘みます。にんにくは細く刻んでおきましょう。

フードプロセッサーやミキサーにオリーブ油、塩、じゃがいも、とろけるチーズ以外の材料を全て入れます。

オリーブ油を少しずつ加えて、攪拌していきます。油を少し加えたら攪拌、少し加えたら攪拌という手順で、オリーブ油を全て加えきるまで繰り返します。

仕上げに味を見ながら塩を加えて何度か攪拌したらバジルソースの出来上がりです。

あとは茹で上がったじゃがいもの皮を熱いうちに剥いて、食べやすい大きさに切り、バジルソース、とろけるチーズと和えます。

塩気は十分かと思いますが最後にもう一度だけ味見をして、足りなければ塩を加えて完成です。チーズがとろけている間に召し上がれ。

鶏のオーブン焼き

いよいよ年の瀬が近づいてくるとクリスマスに忘年会とイベントがたくさん。なにかと家にお客さんを招くことも増えてくる季節かと思います。1年の締めくくりは素敵なレストランや美味しい料理屋さんで!というのも良いですが、気心の知れた友達や大切な人と家でやるクリスマス会や忘年会もなかなかに楽しいものです。そんなお家ディナーを盛り上げるひと品として鶏のオーブン焼きはいかがでしょう?骨つき肉を使えば簡単なのにとっても豪華に、切ってあるもも肉を使えば手軽に、食べやすいメインになります。皮はパリパリ、お肉はジューシー、下に敷いた玉ねぎとじゃがいもは鶏肉のうまみたっぷりの肉汁を吸って、おいしいご馳走に早変わりです。

【材料】約2人分
鶏もも肉 骨つきなら2本、骨なしなら2枚
じゃがいも 3個
玉ねぎ 1個
塩(骨つきの場合は少し多めに) 適量
お好みのハーブ・スパイス 適量
ローズマリーやタイム、コリアンダーなど)
ハチミツ 少々
オリーブ油(たっぷりと) 適量

【作り方】
まず、鶏肉についている余分な脂や皮を取り除き、塩、ハーブ、スパイスを揉み込みます。塩の粒が肉に馴染んできたら常温で30分ほど置いておきましょう。オーブンも200度で予熱しておきます。

肉を置いている間にじゃがいもの皮を剥き、食べやすい大きさにスライスし、沸騰したお湯に塩を加えて茹でます。竹串で刺してみてスッと入ったら茹で上がりです。

玉ねぎは薄切りにして、茹でたじゃがいもと一緒にオリーブ油と塩少々で和えます。天板に玉ねぎとじゃがいも、鶏肉の順にのせて鶏肉の表面に薄くハチミツを塗ります。仕上げにもう一度、オリーブ油を回しかけます。

オーブンに入れて30〜40分ほど、鶏肉にこんがりとおいしそうな焼き色がついたら出来上がりです。


キューバサンドイッチ

映画「シェフ」を見ると、居ても立っても居られないほど食べたくなるのがキューバサンドイッチ。外側はバターでカリカリに焼いて、中はもちっと仕上げたフランスパンの間にはコクのあるチェダーチーズ、爽やかな酸味のピクルス、ジューシーなローストポークとハム、お肉が2種類も挟まっていてボリューム満点。できればローストポークは自家製を使いたいところですが、残念ながら我が家ではローストポークが翌日まで残るということがないので、おいしいお肉屋さんのローストポークを買ってきて作ります。フランスパンは硬めのトラディショナルなタイプより、どちらかと言えばベトナムサンドイッチに使われるような柔らかいものがよろしいかと思います。

【材料】約2人分
フランスパン(長細いものよりは短くて太いもの)1本
ローストポーク 4切れ
ハム 4切れ
チェダーチーズ 4枚
きゅうりのピクルス 6切れ
バター(パンに塗る用と焼く用) 適量
ディジョンマスタード 適量

【作り方】
まず、バターを室温に置いて柔らかくしておきます。

パンの横に具を挟むための切れ込みを入れましょう。具をたくさん挟むので、クラストの部分を少し残すくらいまで切れ込みを入れてしまって大丈夫。

切れ込みを入れた断面にバター、ディジョンマスタードの順番で薄く塗り、ハムとローストポークをフライパンで軽く焼きます。きゅうりのピクルスは薄くスライスしておきましょう。

パンでチーズ、ピクルス、焼いたハム、ローストポークを挟んで、出来上がったサンドイッチを2つに切り分けます。

綺麗に洗ったフライパンに多めにバターを溶かして2つに切り分けたサンドイッチに上と下、両面にこんがり焼き色を付け、断面からチーズが溶けてきたら出来上がりのサインです。チーズが固まらないうちに召し上がれ。